毎日使うものなのに、枕のお手入れはおろそかになりがち。カバーは洗っているけど本体は...という人も多いのでは。長く快適に、そして清潔に使うためには、もちろん本体だってリフレッシュが必要です。でもどうやって？洗濯機は使えるの？そんな疑問に応えるために今回は、寝具に精通した「暮らしコンスタ」に、枕の素材別の洗い方やケア方法などを教えてもらいました！
寝具を得意分野とする「暮らしコンスタ」が教えます！
「コンサルティングスタッフ」通称「コンスタ」は、ある専門分野に特化したハンズの店舗スタッフのこと。カテゴリは「ビューティ」「スタイル」「暮らし」の３つに分かれ、今回は「暮らしコンスタ」である渋谷店の荒木に登場してもらいました。
―まず事前知識として。「コンスタ」とは、どんな役割のスタッフなのでしょうか。
荒木：単なるアイテムの説明に留まらず、お客様のご希望やお悩みに合わせた商品の紹介や使い方のアドバイスなど、プラスαの要素も含めてご提案することがコンスタの役割です。
―では、荒木さんが務める「暮らしコンスタ」が担当するのは？
荒木：掃除、洗濯、キッチン、インテリア、そして寝具まで、衣食住に関わる「暮らし全般」が私たちの担当領域です。お客様が健やかに生活するために、よりよい商品選びのお手伝いをするのがメインの仕事ですね。
―なるほど。その中でも荒木さんは寝具が得意分野ということで。
荒木：はい。掃除用品に強い人やキッチン用品に詳しい人など、「暮らしコンスタ」にもそれぞれの得意分野があり、私の場合はそれが寝具で。枕やふとんはもちろん、睡眠にまつわるあらゆるニーズにお応えしています。
―よくわかりました！今日はそんな荒木さんに、枕のお手入れについて教えてもらおうと思います！
頻度は？長持ちさせるには？枕のお手入れの素朴な疑問
―カバーが汚れるのはわかりますが、本体も汚れるものなんですか？
荒木：寝ている間に汗や皮脂がつき、カバーは当然汚れますが、その汚れは生地を通して中にも入っていき蓄積されます。そして湿気が多い状態で放置すると、その汚れをエサにするダニや雑菌が繁殖しやすい環境になるので、とても不衛生。ですから、カバーはもちろん枕本体の定期的なお手入れもとても重要になるんです。
―カバーをしていても中身は汚れるんですね。
荒木：そうなんです。そして枕を長く使うためには、そのお手入れのやり方が重要になります。洗ってはいけないのに洗ってしまうなど、間違ったお手入れをすることで枕が変形したり、頭や首をしっかり支えられなくなってしまうことがあるので、正しいお手入れの方法を知ることが大切です。
―お手入れは、どれくらいの頻度でやるのが望ましいのでしょうか。
荒木：肌に直接触れる部分なので、枕カバーはこまめに洗濯を。本体は、理想をいうと毎日干してほしいです。寝ている間に汗をかき、内部に湿気が溜まりますので。
―でも毎日はなかなか面倒かと...
荒木：ベランダなどで干すのがベストですが、例えば朝起きたらベッドのヘッドボードに立てかけるだけでも効果的ですよ。枕との間に隙間を空けて、縦にするだけで中に空気が通ります。
―それなら頑張れそうです！
荒木：きちんとしたお手入れという意味では、少なくとも半年に１回くらいは行ってほしいですね。でもその期間に限らず、汚れやニオイが気になるときなど、状態にあわせて適宜お手入れしましょう。
―具体的なお手入れ方法をお聞きする前に。本体はすべてが洗濯可能なわけではないんですよね？
荒木：基本的には「洗濯機OK」「手洗いのみOK」「洗うのはNG」に分かれます。商品タグにある洗濯表示を必ず確認してください。乾燥機の使用についても同様です。
正しく知ろう。中身の素材別にお手入れ方法をレクチャー
―それでは、素材の特長もあわせて、素材別の本体のお手入れ方法を教えてください！
荒木：では「洗濯機OK」「手洗いのみOK」「洗えない」の順番で主な６種の素材を。本来洗えない素材を洗えるように加工している商品などもありますが、ここでは各素材の一般的なお手入れ方法をお伝えしますね。
【素材別】枕のお手入れ方法一覧
※商品タグにある洗濯表示を必ずご確認ください。
| 素材 | 洗濯機 | 乾燥機 | 天日干し |
|---|---|---|---|
| パイプ素材 | 〇 | × | 〇 |
| ポリエステルわた | 〇 | 〇 | 〇 |
| 極小ビーズ | × | × | 〇 |
| そばがら | × | × | 〇 |
| 羽根 | × | × | ×（陰干し） |
| ウレタン素材 | × | × | ×（陰干し） |
・「パイプ素材」の枕の場合
荒木：ストローを切ったような形状の「パイプ素材」の枕は、通気性がよくて耐久性にも優れ、洗えるので衛生的なのが特長です。ほどよい硬さで、高さ調節できるものも多いですね。
―こちらは洗濯機OKということですね。
荒木：はい。洗剤は中性洗剤で、おしゃれ着洗い用のものがおすすめです。洗濯機に手洗いモードがある場合はそちらで。
ちなみにどの素材であれ枕を洗濯機で洗う際は、側地を傷めないように洗濯ネットに入れてください。カバーは外して、他の衣類とは別にして枕だけを洗いましょう。
―乾かす際に気をつけることはありますか？
荒木：パイプは熱に弱いので乾燥機はNGです。天日干しでOKですが、パイプの内側に水分が残ることがあるので、ずっと同じ向きではなく、時折向きを変えながら干すと中心部までしっかり乾かせますよ。干す際は、ふとんばさみを活用するのも便利です。
★「パイプ素材」のおすすめ枕★
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その日の気分で使い分けられる、やや硬めのパイプ面とやわらかなマイクロわた面のリバーシブル。まるでホテルのような寝心地で、洗濯機での丸洗いも可能です。
・「ポリエステルわた」の枕の場合
荒木：「ポリエステルわた」の枕は、ふんわりとした感触と寝心地が特長。パイプ素材と同様に洗濯機で洗えるので、比較的お手入れが簡単なのも魅力です。
―では、洗い方の流れもパイプ素材と同じで。
荒木：はい、先ほどの「パイプ素材」と同様に、ネットに入れて洗濯機で普通に。ただこちらは、基本的に乾燥機もOKです。もちろん天日干しでも。
―使っているうちにボリューム感がなくなってくることもありますよね？
荒木：わたがつぶれてくると、しぼんだような感じになる場合がありますが、ほぐすことでボリュームが戻ります。形を整えることも大切なので、日頃のお手入れとしておすすめです。洗った後に干す際も、適度にほぐしながら干すと効果的ですね。
★「ポリエステルわた」のおすすめ枕★
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わた1本1本が空気を含んだ、軽くてやわらかな使い心地で通気性も抜群。バネのようなクッション性と過重支持で復元力にも優れ、しかも便利なウォッシャブル。
・「極小ビーズ」の枕の場合
荒木：独特の感触と弾力性が魅力で、流動的に動くので頭の形になじみやすいのが「極小ビーズ」の枕。クッションや抱き枕にもよく使われる素材ですね。やわらかいだけでなく、しっかりと頭を支えてくれるのも特長です。
―こちらも洗えるんですか？
荒木：洗濯機はNGで、手洗いのみOKです。でも洗えるんですが...乾くのにすごく時間がかかります。乾燥機もNGなので、完全に乾くまでには１週間から10日ほど。洗う日だけでなく、ちょっと先まで天気予報の確認が必要かと。時間がかかるし、デリケートだし、個人的には洗うことはおすすめしません...！
―覚悟が必要ですね（笑）。仮に洗うとしたら、どのように？
荒木：大きめのタライか、なければ浴槽に水かぬるま湯を少し溜めて、やさしく揉むように洗ってください。乱暴に洗うと側地が傷つき、中身が出てきて大変なことになりますので。洗った後はしっかり絞って、あとは根気強く干すのみ。天日干しでOKですが、中身の偏りがおきないように定期的に向きを変えましょう。
★「極小ビーズ」のおすすめ枕★
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柔軟性と流動性に優れた超極小ビーズが自由自在に変形して体圧を分散し、どんな寝姿勢にもやさしくフィットします。ワイドなデザインで寝返りもスムーズ。
・「そばがら」の枕の場合
荒木：ここからは洗えない素材を。「そばがら」の枕は通気性がよく、吸湿性と放熱性にも優れているので、高温多湿の日本では昔から枕の中材として使われてきました。夏には特におすすめですね。
―洗えないということですが、お手入れの方法は？
荒木：お手入れは天日干しすることのみ。毎日が理想ですが、少なくとも１週間に１回は干したいところです。天気のよい日にたっぷり陽を当てて風を通して、中まで乾燥させてください。
―湿気がこもった状態が続くと、どんなことが？
荒木：天然素材なので、高温多湿な場所に長期間保管すると虫が湧きやすくなるんです。なので濡れてしまった場合は、放置せずにしっかりと乾かしましょう。
★「そばがら」のおすすめ枕★
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近江上布で有名な「近江の麻」をカバーに使用。麻は保温性が低く放射性に優れるので熱がこもりにくく、そばがらとの相性も抜群で頭寒足熱にぴったりです。
・「羽根」の枕の場合
荒木：「羽根」の枕は通気性と保温性に優れるので、冬は温かく夏は蒸れにくいのが特長です。天然素材の中では弾力があって復元力も高く、独特のコシもあるので頭をしっかり支えてくれます。
―こちらも洗えない素材ということで。
荒木：はい、干すことがお手入れのメインになります。ただ、こちらは先ほどのそばがらとは違って陰干しで。「羽根」は紫外線に当たると傷んで劣化しやすい素材なので、直射日光は避けてください。
―日光に当てるのが一番かと思っていました！完全に勘違い...
荒木：間違われている方、けっこう多いですね。カラッと天日干しすると気持ちいいですしね。でも、実は間違いなんです。干す際はベランダなどで陽が当たらない場所に置いて、直射日光を避けながらしっかり風を通しましょう。「ポリエステルわた」と同様に、中身をほぐすようにすると形も整ってふっくら感も復活します。
★「羽根」のおすすめ枕★
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厳しく選別された、軸が細くて上質なスモールフェザーのみを使用。ふっくらとした感触で、空気に包まれるような心地よさと贅沢な気分を味わえます。
・「ウレタン素材」の枕の場合
荒木：最後に「ウレタン素材」。適度な弾力があり、心地よいフィット感で寝姿勢にぴったり合う、優れたサポート力が魅力ですね。
―低反発や高反発など種類もいろいろありますが。
荒木：基本的に「ウレタン素材」であればお手入れ方法は同じで、洗うのはNG。紫外線に当たると劣化しやすいので、「羽根」の枕と同じく陰干ししてください。洗濯したり天日干ししたりしてしまうと、特有の弾力が失われてしまうのでご注意を。
―ウレタン素材ならではの注意点はありますか？
荒木：他の素材と比べると放湿性が高くないため、湿気が中にこもりやすいので、こまめに干すことを習慣づけたいですね。ふとん乾燥機を使うのもひとつの手です。ふとんを乾かすときに枕もいっしょに。
★「ウレタン素材」のおすすめ枕★
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後頭部から首筋にやさしくフィットするネックサポート形状。点で支える「フレキシブル構造」で圧力を分散します。首がこりやすい方におすすめ。
―レクチャーありがとうございました！素材によって、こんなに手法が違うんですね。タメになります。
荒木：間違ったお手入れをすることが枕の寿命を縮めることにつながってしまうので、正しく覚えましょう。どの素材にもいえることは、中心部までしっかり乾燥させること。それが不十分だと、ニオイや菌のもととなって逆効果にもなりかねませんのでご注意ください！
【おすすめアイテム】西川×ハンズのコラボ枕がリニューアル！
荒木：せっかくなので、おすすめの新作枕も紹介させてください！
西川×ハンズ nishikawaとハンズが考えた枕 9,980円（税込）
商品ページはこちら＞＞
荒木：ハンズで取り扱っている枕の中でもトップクラスの人気と売上を誇る西川とのコラボアイテムが、このたびリニューアルしました。
―どのあたりがリニューアルされたんですか？
荒木：大きなリニューアルポイントは2点。まず、仰向けで寝たときに首に当たる部分のクッションに、首との隙間をしっかりと埋めて支える「T字型」の特殊立体構造を採用しました。これによって寝姿勢がより安定します。
荒木：もうひとつが高さ調節機能。これまでは「高め」と「低め」の2タイプでしたがその区別をなくし、同梱された3枚のシートを使うことで高さを4段階に調節できるようにしました。
荒木：「店頭で試したはずなのに、自宅の敷き寝具といっしょに使ってみたらなんとなく合わない」なんて失敗もなくなると思います。シートの出し入れだけなので、調節が簡単なのも魅力ですね。
―これは助かりますね。枕の高さ選びって、なかなか難しいですから。
荒木：中の素材は従来品と同じく2種類を使っています。首を支える部分は、やわらかで程よい弾力の「粒わた」。頭に当たる部分は通気性と弾力性に優れる「ソフトパイプ」。どちらもファスナーを開ければ量を微調整できるので、より自分好みの高さやボリューム感にカスタマイズが可能です。
―全体の形状も特徴的ですよね。
荒木：後頭部を安定させるために、中央は凹んだ形状に。両サイドは高めかつ幅広の構造で横向き寝を支えつつ、耳への圧迫を抑えながら心地よくフィットさせる立体構造に。この形状によって寝返りがスムーズになるんです。
―お手入れのお話を聞いた後なので、こちらのお手入れ方法も教えてください。
荒木：中身の2種はどちらも洗える素材なので、ネットに入れて洗濯機でOKです。ただ、高さ調節シートはウレタン素材で洗えないので、これだけは別途、陰干しを。そこだけご注意ください。
―今日はとても勉強になりました！では最後にお客様にメッセージを。
荒木：枕にも寿命がありますが、毎日使っていると変化がわからなくなるところもあるので、長くても3年〜5年使ったら一度、その枕が自分に合っているのかを見直してください。そしてもし交換のタイミングがきて、次にどれを買おうか迷ったときは...ぜひハンズ渋谷店へ。私が枕選びのお手伝いをさせていただきます！
おわりに
枕は日々の上質な睡眠に欠かせないもの。より快適な眠りのために、より長く心地よく使うために、今回ご紹介したお手入れ方法をさっそく実践してみてください！
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